Category Archives: 波情報(レーダー)

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波の高さ・潮位・有義波高・高潮

お天気まめ知識
波の高さ・潮位・有義波高・高潮

波高(波の高さ)と周期

「波高(波の高さ)」とは、発生した波の頂上から谷までの高さの差のことです。波高は、風が強いほど、長く吹き続けるほど、また、風の吹く距離が長いほど高くなります。
波の周期とは、ある点のうえで、波の頂上から次の波の頂上が来るまでの時間をいいます。

波浪とうねり

風が吹くと水面には波が立ち、まわりへ広がります。
海面上で風が吹くと、海面には波が立ち始め、波は吹かれた方向(風下)へ進んでいきます。波が進むスピードより風が強いと、波は風に押されて発達を続けます。このように、その海域で吹いている風によって生じる波を「風浪」といいます。
風浪は発達しつつある波で、個々の波は不規則で尖っており、強い風の場合、しばしば白波が立ちます。発達した波ほど、波の高さが大きく、周期と波長も長くなり、スピードも速くなります。

一方、こうして発達してきた風浪が風の吹かない領域にまで伝わった波、あるいは風が弱まった場合や風向が急に変化した場合に残された波を「うねり」といいます。うねりは減衰しながら伝播する波で、規則的で丸みを帯び、波の峰も横に長く連なっていますので、沖合いではゆったりと穏やかに見えることもあります。しかし、うねりは波長(周期)が長いために水深の浅くなっている海岸(防波堤、磯、浜辺など)の付近では海底の影響を受けやすく、波長(周期)の短い風浪よりも波が高くなりやすいという性質を持っています。
このため、沖合いから来たうねりが急激に高くなることがあり、波にさらわれる事故も起こりやすいので注意する必要があります。
うねりの代表例は土用波です。土用波は、はるか数千km南方の台風周辺で発生した波が日本の太平洋岸まで伝わってきたものです。
うねりが伝わる速さは時速100km以上に達することもあります。日本の南方にある台風が北上してくる場合、台風は太平洋高気圧に進路を阻まれて日本のはるか南海上を比較的ゆっくり進むことも多く、そのためスピードの速いうねりが台風自身の接近よりもかなり早く到達することもあります。

通常は、風浪とうねりは混在しており、それらをまとめて海の波を「波浪」と呼んでいます。時には、風が弱く風浪がほとんど無いことや、うねりが2つ以上の方向から伝わってくることもあります。
非常に強い風の吹く台風の中心付近では、様々な方向からの風浪とうねりが混在して、波高が10mを超えることも珍しいことではありません。

潮位

潮位は基準面からの海面の高さを示しています。
この場合の海面の高さは波浪など短周期の変動を平滑除去したものとします。
また、基準面は東京湾の平均的な海面の高さとしています(東京湾平均海水面:TPといいます)。

高潮

台風に伴う風が沖から海岸に向かって吹くと、海水は海岸に吹き寄せられて「吹き寄せ効果」と呼ばれる海岸付近の海面の上昇が起こります。この場合、吹き寄せによる海面上昇は風速の2乗に比例し、風速が2倍になれば海面上昇は4倍になります。特にV字形の湾の場合は奥ほど狭まる地形が海面上昇を助長させるように働き、湾の奥ではさらに海面が高くなります。
また、台風が接近して気圧が低くなると海面が持ち上がります。これを「吸い上げ効果」といい、外洋では気圧が1hPa低いと海面は約1cm上昇するといわれています。例えばそれまで1,000hPaだったところへ中心気圧が950hPaの台風が来れば、台風の中心付近では海面は約50cm高くなり、そのまわりでも気圧に応じて海面は高くなります。

このようにして起こる海面の上昇を「高潮」と呼びます。

有義波高

波高は常に一定ではなく、高い波や低い波が混在しています。
そこで、複雑な波の状態を簡単に表す方法として、統計量を使う必要があります。 ある地点で連続する波を観測したとき、波高の高いほうから順に全体の1/3の個数の波(例えば20分間で100個の波が観測されれば、大きい方の33個の波)を選び、これらの波高および周期を平均したものを有義波(有義波高、有義波周期)と言います。つまり有義波は、一番高い波でも、単なる平均の波でもありません。また、大きな波や小さな波が混在する実際の海面では、目視で観測される波高は有義波高に近いので、一般に波高と言った場合は有義波高を指します。
現実の海面には有義波高より高い波や低い波が混在しており、時折、有義波高の2倍を超えるような波も見られます。有義波高は最大波高ではない、ということを忘れないでください。

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波や風向きの予想を立てるのに有力なツールになる天気図

波や風向きの予想を立てるのに有力なツールになる天気図。
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例えば本日の天気図、梅雨前線が沖縄に停滞していますが、一般に停滞前線がある場合、遠くからうねりがもたらされるということはありません。

低気圧がサーフポイントから程よい位置にあって、そこから延びる前線も、寒冷前線、温暖前線とはっきり分かれている場合は、うねりが発生します。そして、風は反時計回りで回っているので、風向きを比較的容易に予想し、うねりが入るのかも予想を立てやすくなります。

いずれにしても天気図は波の予想を立てる強力なツールです。

その読み方について http://www.jma-net.go.jp/matsue/chisiki/column/front/front.html より。

前線の種類

前線は気団(気温や水蒸気の量がほぼ一様な空気の塊、寒気団、暖気団などがある)と気団の境目に発生し、その境目では気温の差が大きく、風も急に変わる場合が多くあります。前線は互いにぶつかり合う気団の勢力によって4種類に分類されます。暖気団の勢力が強く寒気団側に移動する温暖前線、寒気団の勢力が強く暖気団側に移動する寒冷前線、温帯低気圧の発達に伴ってできる閉塞前線、寒気団と暖気団の勢力が同じくらいの停滞前線です。

天気図上で、前線は下の図のように表されます(図1、2、6)。温暖前線は図中の赤色の線、寒冷前線は青色の線、閉塞前線は紫色の線で示しています。また、停滞前線は図6のように表現します。一般的に低緯度から流れ込む空気は暖かく、高緯度から流れ込む空気は寒冷です。さらに、北半球では、一般的に空気塊は低気圧の周りを反時計まわりに回りながら低気圧の中心に流れ込むので、はじめは暖かい空気と寒冷な空気によって図1のように前線が形成されます。この低気圧が発達していき、寒冷前線が温暖前線に追いつくと、閉塞前線が形成されます(図2)。

 

前線を伴う温帯低気圧の付近のイメージ図(発達中)

図1 発達中の温帯低気圧

 

前線を伴う温帯低気圧の付近のイメージ図(衰弱期)

図2 衰弱期の温帯低気圧

 

 

温暖前線

寒気団に比べ暖気団の方が優勢なときの前線で、図3のように寒気団の上に暖気団が乗り上げます。このため前線から1000km以上も離れた進行方向前面の上空には巻雲が現れ、前線に近づくにつれて低い雲となります。普通、前線から進行方向前面300kmくらいまでの間では雨や雪が連続して降ります。

温暖前線の鉛直断面図

図3 温暖前線の鉛直断面図(図1の点線Aの断面)

 

寒冷前線

寒気団の方が暖気団に比べて優勢なときの前線で、寒気団は図4のように暖気団の下に潜り込んで前進します。このため、前線付近では暖気団が強制的に上昇させられて積乱雲ができて、短時間に強い雨が降ります。寒冷前線の通過時には気温が急激に下がり、風向きが急変して突風を伴い、雷が発生することがあります。

寒冷前線の鉛直断面図

図4 寒冷前線の鉛直断面図(図1の点線Bの断面)

 

閉塞前線

温帯低気圧が発達して、寒冷前線が温暖前線に追いついたときにできます。追いついた寒冷前線の後ろ側の寒気団が、先行していた温暖前線の前方にある寒気団より冷たいときは、寒冷型の閉塞前線(図5)、暖かければ温暖型の閉塞前線となります。

閉塞前線の鉛直断面図

図5 閉塞前線の断面図(図2の点線Cの断面)

 

停滞前線

暖気団と寒気団との勢力が伯仲しているときの前線で、ほとんど同じ位置に停滞します。そのため、長時間雨が降りやすくなります(図6)。梅雨前線はこの停滞前線です。

梅雨前線とその付近のイメージ図

図6 停滞前線とその付近のイメージ図

 

まとめ

空気は暖まると軽くなり上昇し、冷えると重くなり下降する。重くなった空気は地面を押さえ圧力をかけた状態となる。これが気圧だ。暖まった空気は上昇し、地面に対して圧力が少なくなる。その部分を低気圧といい、逆に空気が冷え重たくなった部分を高気圧というわけだ。空気は気圧の高い方から低い方へ流れ込む。この空気の流れが風なのだ。ただし地球は自転しているため、空気は高気圧から低気圧に向かって真っ直ぐ吹くわけではない。北半球では高気圧から吹き出す風は時計回り、低気圧へ吹き込む風は左回りとほぼ決まっている。ちなみに南半球ではこれが逆になる。