一生にサメに襲われて死ぬ確率
Category : サメ-クラゲ-海の危険動物
糸満市でのシャークアタックの記事に、一生にサメに襲われて死ぬ確率を書きましたが、このページにカイトサーフィン、スキューバダイビング、歩行との比較を加えて、改めてまとめます。
サメに襲われて亡くなる可能性はどれくらいなのでしょうか。ネットで見てみると、いろんな数字がありますが、どれも信憑性が疑問。
それで、検索対象を英語圏に広げて検索すると、サーファーマガジンのこんな記事が。
Florida Museum of Natural Historyによれば、
1 in 3,748,067 are the lifetime odds given for a shark fatality, compared to 1 in 79,746 for death by lighting, according to the Florida Museum of Natural History.
アメリカ人が一生でサメに襲われる確率(3,748,067人中1人)は、落雷で死亡する確率(79,746人中1人)よりもはるかに低い。
しかし、この統計は海には全く入らない人も含まれているので、サーファーに絞って計算すると、
2万5,641人中1人
This new equation sets the lifetime odds of surfer in the U.S. being the victim of a fatal shark attack at 1 in 25,641, which seems much more realistic compared to the 1 in 3.7 million chance we are continually told. So, should we still be scared of a little electricity? Read more at http://www.surfermag.com/features/what-are-the-odds/#Yr1H86uLrqb1vbAb.99
落雷で死亡する確率より3倍以上高い。
この記事に対するコメントを見ると、サーファー以外にもダイバーや漁師も常にシャークアタックの危険に遭うので、その数も含めて計算し直さなければいけないこと、そうなると落雷で死亡する確率より2倍ほどになるとか、いろいろなコメントもあり。
Florida Museum of Natural Historyによれば、アメリカ人が一生に遭遇する他のケースは以下の通り。
車の事故 84人に1人
自殺 119人に1人
溺死 1,134に1人
飛行機事故5,051に1人
列車事故 15万6,169に1人
火事 34万733に1人
一生のうちにサーフィンをしてサメに襲われる確率の「2万5,641人中1人」は、飛行機の事故で亡くなる可能性よりはるかに低い。
同じサーファーでも入る頻度や、時間帯、場所が異なりますし、飛行機に乗る人も全く乗らない人もいるので、一重に数字で測るのは困難ですが、交通事故で亡くなる可能性よりかは低く、落雷で亡くなる可能性よりかは高いというのは確かそうです。
100人のサーファーに、サメに襲われて亡くなった知人がいるかを聞いて、知っていると答える人はまずいませんが、交通事故で亡くなった人について尋ねれば、大抵知っていると答える人はいるのではないでしょうか。
こんな記事もありました。
2003年の1年で、アメリカでは10万人に対して、何人の人が事故で亡くなったか。
(ちなみに、うるま市や浦添市の人口は約11万人)
カイトサーフィン 6-12人
スキューバダイビング 5人
交通事故 15人
歩行者 2人
いろんな不慮の事故 56人
パラグライダー 88名
(沖縄の海中道路ではカイトサーフィン愛好家が非常に多く、我が家からもよく見え、とても楽しそうなので、いつか自分もやってみたいと思っていましたが、アメリカでは交通事故に近いくらいの確率で事故死しているよう。パラグライダーもたまに見かけますが、結構危険ですね)
Estimated Fatality Rates In USA
Activity – (Losses per 100,000) – Source
Paragliding – 88 – 1) http://www.ushga.org/safety/PG2005 AccidentSummary.pdf
Unintentional injury deaths from all causes – 56 – 2) WISQARS www.cdc.gov/ncipc/wisqars (2003)
Motor Vehicle Traffic injuries – 15 – 2) WISQARS www.cdc.gov/ncipc/wisqars (2003)
Kitesurfing – 6 to 12 – 3) http://fksa.org/ (2005)**
SCUBA diving – 5 – 4) http://www.diversalertnetwork.org/me…port/index.asp (2003)
Pedestrian – 2 – 2) WISQARS www.cdc.gov/ncipc/wisqars (2003)
** The range was derived from the estimated number of kiteboarders in the USA.
今回の糸満の事件があったので、本日、平敷屋漁港で漁師をしている知人にサメのことを聞きましたら、金武湾の深いところで一度、3Mの鮫を見たことはあるが、それ以外では見たことも、サメで殺された話もほとんど聞いたことがないと述べていました。
全国のニュースベースで見ると、直近では15年前に一人、
宮古島でサーファーがシャークアタックで亡くなっています
以下の記事は琉球新報より
16日午後5時ごろ、平良市荷川取の砂山ビーチの沖合約30メートルでサーフィンをしていた平良市東仲宗根添1166ノ689、無職三浦貴之さん(21)が海中に引き込まれるのを一緒にサーフィンをしていた知人の男性(30)が目撃した。男性は周りでサーフィンをしていた知人らに助けを求め、三浦さんを引き揚げ、119番通報した。三浦さんは病院に搬送されたが、右上腕部と両ひざ下を切断されるけがで、同日午後5時半ごろ、死亡した。三浦さんの両足に残った歯形と、一緒にサーフィンをしていた知人が三浦さんの側でサメのせびれを目撃しており、宮古署ではサメに襲われたと見ている。
平良市では1996年7月に潜水調査に同行していた男性がサメに襲われ、死亡する事故が起きたほか、97年7月にも素潜りで漁をしていた漁師が襲われ死亡している。今回はレジャー中の事故で、現地の関係者は強い衝撃を受けている。
3年前の悲劇再び・・・
【平良】3年前に漁師がサメに襲われ死亡したが、今度はサーファーがこんなことになるなんて-。16日午後、波乗りの男性(21)がサメに襲われ死亡したことに、宮古地区の漁業関係者や観光関係者はショックを隠し切れない。
平良市漁協の宮国泰光組合長は「4年前と3年前に続けて漁師らがサメに襲われて以降、それまで中断していたサメ捕獲も実施してきた。こんなことになるなんてショックだ」と話した。同漁協では、まとまったサメの捕獲はしていないものの市の補助を受け、毎日のようにサメを引き揚げる漁師もいるという。今後の対策として「これから考えたいが、これまで同様、日々の捕獲をしていくしか方法がないだろう」と効果的な方策は見当たらないようだ。
平良市では1996年7月にサンゴ調査中の男性が、97年7月に漁師がサメに襲われて死亡している。その後、平良市では周辺の浜を遊泳禁止にしている。県宮古支庁と平良市では、今回の件を重くみて早急に対応を検討する考えだ。
宮古署によると、男性は波がくるのを待ってサーフボードの上に座っていたところを海中に引きずりこまれたという。目撃者が背びれを見たといっており「サメではないか」という。男性のサーフボードにはサメに食いちぎられたような跡が残っている。
宮古島ダイビング事業組合の渡真利将博会長は「砂山付近でサメを見掛けたということは聞いていない。サメに襲われるのは水面近くが多く、水中のダイバーが襲われることはないようだ。過去は漁師だったが、今回はサーファーだったということで宮古島に海に対するイメージが悪くなるのでは」と危ぐする。
別の記事ではこのサメは、イタチザメ(英語でタイガーシャーク)で、今回の糸満市でサーファーを攻撃したサメもイタチザメのよう。
Wikipediaを見ると、イタチザメは何でも食べるので、
「ひれのついたごみ箱」と称されている
イタチザメは非常に危険なサメのひとつで、ホホジロザメ(Carcharodon carcharias)に次いで人や船の被害が多い。
とくに熱帯地方では最も危険なサメとされる。いわゆる「人喰いザメ」のひとつ。沖縄やオーストラリア、ハワイでは被害が顕著である。その性格は好奇心旺盛で攻撃的であり、人にも近づいてくる。イタチザメが危険なのは、あらゆる生物を捕食することに加え、普通餌にしないものでも躊躇せずに食べる習性にあると言える。
水中でイタチザメに遭遇した場合、必ずしも攻撃を受けるとは限らないが、最大限の注意を払わなければならない。血の臭いのする餌でサメをおびき寄せる(銛で突いた魚を持っていた場合も含む)、サメに触れるなどして人がサメの攻撃を誘発した場合 (provoked) に限らず、何もしていなくても攻撃される場合 (unprovoked) があり、そのうち少なからず死亡した例もある。
さて、このイタチザメ、沖縄の海にどれほどいるのでしょうか。
八重山では今年の7月に年1度のサメ駆除を実施し、イタチザメやツマジロザメなど計88匹を駆除。
以下は沖縄タイムスより
今年は450キロ超の大型サメが続々と水揚げ
88匹目のイタチザメは体長4メートル。重量500キロまで量れるクレーンがエラー表記になる推定550キロの超大物だった。
パワーリフトで陸に揚げると、見物人からは大きなどよめき。解体すると子ザメが18匹、胃からはイルカのあごが出てきて、親子連れから「恐ろしい」とため息が漏れた。サメは糸満市の加工業者が買い取り、研究者は子ザメの生態を記録していた。(奥沢秀一通信員)
左図は、八重山近海で駆除された500キロ級のイタチザメ=石垣市新栄町、八重山漁協
昨年の7月22日は糸満市で14匹のイタチザメが駆除。
サメによる一本釣りでの魚の横取りやはえ縄の被害を防ぐため、漁業再生支援事業の一環としてサメ駆除が実施され、21日と22日の2日間に14匹が水揚げされました。
この取り組みは、離島漁業の再生や漁場の生産力向上を目的に、タマン稚魚・ウニ放流、アオリイカ産卵礁の設置、水質の維持・改善などと合わせて行われています。
糸満の漁業者が漁を行う海域で駆除されたイタチザメ14匹のうち、最大で体長約4メートル、重さ約550キロのサメがいました。
近年の日本、もしくは日本人が関わるサメ被害は以下の二つが顕著。
2015. 2 オーストラリアでサーフィン中の日本人男性(41)がサメに襲われ死亡
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2015020900297
2012. 3 転覆漁船の乗組員がイタチザメと思われるサメに襲われ足を咬まれ大けが 鹿児島県奄美沖
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp201203240171.ht…
以下は、SeeSaaWikiより
【人食い】主な日本におけるサメによる食害死亡被害事件 (負傷例他多数有)
被害発生日 | 被害場所 | 被害時行動 | 性別(年齢) | サメの種類 | 備考 | 被害状況 |
S13-14(1938-39) | 愛知県篠野島 | 潜水漁 | 女性(**) | 不明 | ||
S16(1941) | 愛知県日間賀島 | 潜水漁 | 男性(**) | 不明 | ||
S18(1943) | 愛知県日間賀島 | 潜水漁 | 男性(**) | 不明 | ||
S21(1946) | 愛知県野島 | 潜水漁 | 男性(**) | 不明 | ||
S22(1947) | 愛知県日間賀島 | 潜水漁 | 男性(**) | 不明 | ||
S23(1948) | 愛知県篠野島 | 潜水漁 | 男性(**) | 不明 | ||
S23-24(1948-49)頃 | 愛知県篠野島 | 海水浴 | 男性(**) | 不明 | ||
S25(1950)7.21 | 佐賀県有明湾 | 不明 | 男性(**) | 不明 | ||
S25(1950)8. | 愛知県日間賀島 | 漁業作業 | 男性(**) | メジロザメ? | ||
S29(1954)10.2 | 長崎県大村湾 | 不明 | 男性(**) | 不明 | ||
S30(1955)8.30 | 東京都御蔵島 | 不明 | 男性(**) | 不明 | ||
S30(1955) | 愛知県幡豆 | 漁業 | 男性(**) | 不明 | ||
S34(1959)7.25 | 岡山県牛深町 | 不明 | 男性(**) | ヨシキリザメ? | ||
S34(1959)8.11 | 和歌山県磯ノ浦 | 海水浴 | 男性(1*) | 中学生 | ||
S35(1960)頃 | 沖縄県宮古島 | 漁業 | 男性(**) | 不明 | ||
S39(1964)8.3 | 岡山県西大寺 | 不明 | 男性(**) | 不明 | ※生死不明 | |
S42(1967)8.26 | 香川県坂出市 | 釣り | 男性(19) | 不明 | ||
S45(1970)頃 | 沖縄県宮古島 | 漁業 | 男性(**) | 不明 | ||
S47(1972)8.20 | 宮崎県串間市 | 不明 | 女性(**) | 不明 | 遺体漂着 | |
S50(1975)8.25 | 沖縄県中城村 | 不明 | 男性(54) | 不明 | 遺体漂着 | 右上肢・腹部 |
S57(1982)8.29 | 熊本県大矢野町 | 遊泳 | 女性(13) | シュモクザメ? | 天草女子中学生サメ襲撃事件 | 胸部以下・内臓損失 |
S60(1985)2.13 | 沖縄県下地島 | 潜水漁 | 男性(**) | 不明 | ※行方不明(襲撃目撃) | |
H4(1992)3.8 | 愛媛県松山市 | 潜水漁 | 男性(41) | ホホジロザメ | 瀬戸内海サメ騒動 | |
H4(1992)8.5 | 鹿児島県奄美大島名瀬市 | 釣り | 男性(32) | イタチザメ? | ※行方不明 | |
H7(1995)4.9 | 愛知県伊良湖沖 | 潜水漁 | 男性(47) | ホホジロザメ | 右腕損失 | |
H8(1996)7.24 | 沖縄県宮古島平良市 | サンゴ調査 | 男性(52) | オオメジロザメ | 胴体一部・内臓損失 | |
H8(1996)8.2 | 沖縄県鳩間島 | 乗船? | 女性(19) | イタチザメ | ※水死後襲撃の可能性有 | 頭部・腹部・下肢の大部分が欠損 |
H9(1997)7.12 | 沖縄県宮古島平良市 | 潜水漁 | 男性(55) | イタチザメ | 両足損失 | |
H9(1997)7. | 沖縄県伊計島 | 遊泳 | 男性(41) | 不明 | 大腿部 | |
H9(1997)8.3 | 鹿児島県徳之島 | 潜水漁 | 男性(30) | 不明 | ※行方不明 | 咬傷つきベルト回収 |
H11(1999)7.25 | 沖縄県西表島 | 遊泳 | 男性(19) | イタチザメ | ※水死後の可能性有 | 右足・左大腿部 |
H12(2000)9.16 | 沖縄県宮古島平良市 | サーフィン | 男性(21) | イタチザメ | 右上腕部・両足膝下損失 | |
※参考資料
「海洋と生物 142」2002.10 ほか
◎参考
※H 4(1992). 8 大分県蒲江町沖 定置網補修中の男性(41)は当初サメ襲撃と見られたが、後に操船ミスによる事故と判明
※H 5(1993).11 米ロサンゼルス沖漁船上 はえ縄漁中男性(33)の顔にサメが当たり死亡
※H27(2015). 2 オーストラリアニューサウスウェールズ州のシェリービーチで、サーフィン中の日本人男性(41)が3.5~4mのホオジロザメ?の襲撃を受け、両足を喰いちぎられて死亡
◎参考サイト
サメによる被害例について:http://chikyu-to-umi.com/kaito/same.htm
サメの海http://www.geocities.co.jp/NatureLand-Sky/4515/top…
ISAF(インターナショナル・シャーク・アタック・ファイル)http://www.flmnh.ufl.edu/fish/sharks/ISAF/ISAF.htm (英語)
◎サメ被害例
1982年8月29日
13時40分頃 熊本県大矢野町沖 【天草遊泳中女子中学生サメ襲撃事件】
ヨットからロープを垂らして子供3人を引っ張っていたところ、女子13才が突然悲鳴をあげ、
海中に引き込まれ、サメに腹部、内臓を食いちぎられ、即死した。
歯の痕跡からシュモクザメと判断された。
http://w.livedoor.jp/book-wiki/d/%c5%b7%c1%f0%cd%b…
http://blog.livedoor.jp/mikaiketsujiken/archives/2…
1992年3月8日
愛媛県松山沖瀬戸内海 【瀬戸内海サメ騒動】
タイラギ漁中の潜水夫男性が突然無線で引き上げるように要請したが、
引き上げると破れた潜水服だけを残して行方不明になっていた。
残っていた歯から5mあまりのホオジロザメに襲われたものと思われる。
http://blog.livedoor.jp/mikaiketsujiken/archives/2…
次の記事では、
サメに襲われたら…